[ 歩いた山の紹介 ] 2009/09/21(月)

2週間前に西穂からジャンダルムを越えて奥穂へのルートに挑戦してきた興奮もさめないうちに、今度は北鎌尾根に挑戦してきました。
メンバーは、ジャンさん(CL)、モリヤン(SL)、hiroさん、てくてくの4人。クライミングジムすら行ったことのない僕はメンバーの中で最低レベル。今回も超軽量化して、食べ物も軽い行動食のみ、着替えもなし、個人装備はぎりぎりまで削りました。共同装備もみなさんに配慮していただき、意地を張らずに甘えることにしました。
当初台風14号が太平洋上に発生し、シルバーウィーク前半に日本接近の可能性があったため、早々に山行を中止されたマイミクさんも多かったようです。僕たちはあきらめずギリギリまで天候判断、そして決行。結果は3日間とも快晴!心配した稜線の強風も一切なし。午後のガスもなく、青空の槍ヶ岳を終日眺めながら最高の気象条件でチャレンジできました。
北鎌尾根登攀の歴史は、大正1年、日本近代登山の父、w・ウエストンに始まり、早大山岳部、学習院大山岳部が大正11年、同じ日に登ったという有名な歴史があるそうです。そして、伝説の単独行者・加藤文太郎が遭難した場所です(新田次郎の「孤高の人」のモデル)。同じく、「風雪のビヴァーク」を遺して、先鋭的な登山家・松濤明も遭難死されています。
僕は槍ヶ岳には2回登ったことがあるけど、すべて一般ルートからでした。それも20年くらい昔の青春時代に(汗)。北鎌尾根は、3000mクラスの山を登っている方であれば、「いつかは登ってみたい」と憧れる登攀・バリエーションルートです。
先ほど無事に帰って来て、この気持ちがさめるまえに日記を書いておこうと思いました(また長くなりそうな予感)。下山した直後の感想を一言で言うと「よくあんな力が出たなあ」という感じです。圧倒されるような岩壁の連続、そこを攀じ登り、切れ落ちた谷底を見ながら垂直な下降の連続、何度クリアしてもさらに困難な壁が出てくる感じでした。
憧れてもなかなか行くことのできない北鎌尾根、やっぱりハードでした。「北鎌」と聞いて、少し知ってる方なら「岩登りの技術が必要」とはご存知だと思います。でも、一番大事なのは「体力」と絶対に登り切るという「強い意志」だと思います。もし、途中でバテたら後戻りできないルートなのでパーティ全体が危機的状況になってしまいます。あと必要なのは「ルートファインディング力」と断崖絶壁に張り付いて登り降りできる「恐怖心の克服」です。これに加えて最低限の「岩登りの技術」も当然要ります。さらに加えて落石に遭わない「運」も必要でした。詳細は日記の中で(汗)
今回のルートをカシミールにプロットしてデータを取ってみると、北鎌沢のコルから槍ヶ岳までの核心部の距離はわずか2.5kmです。山渓の「アルペンガイド7」によると10時間のコースタイムの登攀ルートです。今回は8時間53分かかりました。
しかし、この核心部に挑戦するためには、テント装備の重荷と行動に必要な何リットルもの水を背負って、とても長くてしんどいアプローチをクリアしなければなりませんでした。どなたかの山行記に「北鎌はアプローチが核心」とまで書かれていました。言い得て妙です
1日目に上高地から北鎌沢出合まで19.15km、累積標高差1174m
2日目に核心部の北鎌の尾根である北鎌沢のコルまでの登りで標高差600m
これだけの宿題をこなして、なお核心部に挑戦する「体力」のある方だけに挑戦する資格が与えられます。僕の感想では、もしトレーニングをちゃんとしていなければ、大曲から水俣乗越までの標高差400mの急登と北鎌沢の標高差600mの急登(岩場)でバテたり足が攣ったりしてしまうと思いました。
余談ですが、さらに3日目の下山に上高地までの長ーい18.3kmがあります。しかも後半の横尾からの11kmは観光地に揉まれて(滝汗)。この分の体力も残しておかないと太ももが攣り、膝が笑うことになります。
【DATA】行動時間には休憩も含む
3日間のトータル行動時間24時間42分、歩行距離42.77km、累積標高差2833m
9/19(土)晴れ 行動時間8時間07分、距離19.15km、累積標高差+1174m
06:20 「あかんだな」からバス
06:50 上高地着
07:10 登山届を提出して出発
07:50 明神
08:34 徳沢
09:30 横尾
10:55 槍沢ロッジ(昼食) 11:30
11:52 ババ平テン場
12:21 大曲 12:30
13:23 水俣乗越 13:45
15:17 北鎌沢出合(ビバーク)
9/20(日)晴れ 行動時間10時間30分、距離05.34km、累積標高差+1463m
06:07 テント撤収し北鎌沢出合を出発
06:30 左俣との分岐
08:22 北鎌沢のコル 08:32
09:20 天狗の腰掛 2749m 09:35
11:00 独標 2899m 11:25
14:20 北鎌平直下の稜線 14:30
14:43 北鎌平
15:00 槍ヶ岳直下の取り付き 15:10
15:40 槍ヶ岳山頂 3180m 16:00
16:20 槍ヶ岳山荘(テン場いっぱい)
17:00 殺生ヒュッテのテン場(泊)
9/21(月)晴れ 行動時間6時間05分、距離18.28km
08:10 殺生ヒュッテ出発
09:46 大曲
10:25 槍沢ロッジ
11:30 横尾 11:40
12:22 徳沢(昼食) 13:00
13:37 明神
14:15 上高地(バスに長蛇の列)
15:17 やっとバスに乗る(あかんだなへ)
山行記録と写真は続きをご覧下さい
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